週刊オクシーズ物語

17. 亀裂…私に歌わせて!

亀裂…私に歌わせて!

 クリスマスが過ぎ、年の瀬が近づいていた。 その日で3人そろっての練習は年内最後であった。 練習が終わりスタジオで 着替えをしているとき、ジェニーが座り直して、ノゾーミとターマの方を向いてこういった。

 『長らく保留になったままのオクシーズマイラブ♫のことなんだけど・・・。』
 ついにきた!ずっと触れず障らずだったこの問題。

 『二人にお願いです。どうしても私の歌詞であの歌を歌わせてほしいの。』

 しばらくの沈黙のあと、ノゾーミが静かに口を開いた。
 『ジェニーの歌詞で?どうして?3人の歌詞の持ち寄りじゃダメなの?
 マークは3人の個性を見せたいから持ち寄りがベストだって言ってるよね。』

 『だから持ち寄りのオクシーズマイラブは企画ものとして別の機会に歌えばいいと思う。 オクシーズのオリジナルはやっぱり私のオクシーズマイラブ♫でお願いしたいの。 ちゃんと日の目を見させてやりたいの。おねがいします!』

 ジェニーは持ち寄り用の新しい歌詞を準備していた。彼女に言わせればそれも替え歌なのだと言う。 あくまでもオクシーズとしての正式は自分の歌詞だと譲らない。ジェニーは思いつめていた。自分の子供を守ろうと必死だった。 もう頭を下げるしかないと思って勇気を振り絞ったのだろう。
 ノゾーミとターマは返事ができなかった。もちろんオクシーズマイラブ♫は歌いたい。 オクシーズの初めてのライブでオリジナルがあるのとないのとではステージの価値が大きく変わる。 せっかく生まれた歌を歌わずに終わりたくはない。 ただどうしてそこまでジェニーが自分の歌詞に頑なになるのか、2人は理解できなかった。
 オクシーズマイラブ♫が原因で生じた亀裂。どんなに時間をかけても、どんなに言葉を重ねても、塞がることはなかった。 あんなに楽しかったオクシーズがちっとも楽しくなくなった。 それぞれ人生経験を重ねた50歳を超えた女が、3人集まって何か一つの事をやろうとしているのである。 そりゃあ譲れないことや主張したいことだってたくさんある。 でも何よりもオクシーズが楽しくて楽しくてしょうがないから、これまで何があっても乗り切ってこれた。 前向きな気持ちが失われることなど一度もなかった。でも・・これでは前に進めない・・・。

 本番まであと2週間。ジェニーはテキサスに帰って行った。 その頃ターマは『素人のヘタクソな歌なんて誰も聞きたくないよ』と家族からいわれ、すっかり自信を失っていた。 ノゾーミもまた焦りと不安の中にいた。 公開したオクシーズのフェイスブックにはすでに100人以上もの人たちが『いいね』を押してくれていた。

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