週刊オクシーズ物語
04. ターマの苦悩

ターマの苦悩
ある晩、ジャクソンシティの町はずれにある焼き鳥バー『UTAMARO』に一人の女性が現れた。ターマだった。
『UTAMARO』はトレーラーハウスを店舗に改装したちょっと珍しい焼き鳥バーである。
切り盛りするのはスキンヘッドと優しい笑顔でみんなからマークと慕われる人気者、Ghシュガー、52歳。
それまで数回店にやってきたことがあるターマのことをGhシュガーはよく覚えていた。
いつも遅い時間にやってきて、焼き鳥のせせりとしし唐を決まって2本づつ注文し、
ライムが効いたジーマを飲み干してさっさと帰っていく。その日は他に誰も客がいなかったので話しかけてみることにした。
『いつも遅い時間までお仕事ですか?』
『私、フラダンスやっててね、ここに来る日はいつもレッスン帰り。
今日もこの時間までレッスンでしょ、お腹空いちゃって真っ直ぐ家に帰れないのよ。』
『なるほど~フラだけにフラフラなんですね~(笑)』
『アハハ、そうなの。でもね、実はフラよりももっと大変なことがあるのよ!
あ〜〜〜〜〜もうどうしたらいいのか、ちょっと聞いてくれる~?』
ターマは水面下で活動し始めたまだ誰も知らないオクシーズの事をマークに語り始めた。
『じつはね、私、音痴なのにコーラスグループの一員になってしまったの。
ジュニアハイスクールの同級生3人でグループ作って踊るっていうから、楽しそうだしやるやる〜って言ったの。
でもね、それがふたを開けてみたら歌も唄うっていうのよ。あの二人ったら、歌詞をどうする、
振り付けをどうするとすごく盛り上がってて、今さら辞めるって言えない雰囲気なんだよね。』
すかさずマークは言った。
『音痴なんていないんですよ。誰でもトレーニングしたら唄えるようになりますよ。』
『それ本当?? わたし踊りや楽しい事は好きだけど、歌なんて絶対無理!! 人前で唄うぐらいなら、
裸を見られた方がまだましなくらいよ。レボリューションの応援っていうから、ペンライトを振ったり、
チョロチョロ後ろで踊るくらいだと思って参加するって言ったのに、まさかこんな話になるなんて。』
ターマの口から思わずため息がもれる。
『でもさ、もうこの歳じゃない? 若いお姉ちゃんじゃあるまいし、今さら恥ずかしいとか できないって言うのが、なんかえらくカッコ悪いんだよねぇ。』
マークの眉がピクリと動いた。