週刊オクシーズ物語

07. ロバートJ 大炎上!

ロバートJ 大炎上!

 次の週末、ノゾーミたちはジョニーをリトル高岡の居酒屋『ロバートJ』に呼び出した。ちなみにこの店の名前の『ロバートJ』とは、ここのマスターが崇拝しているミシシッピー出身の伝説のブルースギタリストRobert Johnsonからきている。十字路で悪魔に魂を売り渡して、ブルースのテクニックを身につけたというクロスロード伝説やスライド・ギターの名手としても名高い。夫のいる女性に手を出したため、27歳の時にストリキニーネで毒殺されたという伝説の男Robert Johnson。まさかこんなコテコテの日本風居酒屋の名前につけられようとは本人もおったまげ~~~!であろう。

 さて、ジョニーが『ロバートJ』に行くと、すでに練習後のオクシーズとマークが待っていた。 同級生のアンドレとパッツンも呼び出されていたらしく間もなくやってきた。 面子がそろったところでとりあえずバドで乾杯。 しばらく近況報告など和気あいあいの談笑のあと、ノゾーミが口火を切った。

 『さてと。説明してもらおうかな。』
 『何を?』
 わけがわからない様子のアンドレとパッツン。

 『オクシーズのテーマとやらのことよ、ジョニーが吐いたのよ!
 アンドレとパッツンも知ってたんでしょ?あなたたちが曲をつけたらしいじゃないの!』

 パッツンはなんのことやら?という顔をしている。アンドレがニヤリとした。どうやらアンドレが共犯のようだ。

 『時間がないぜオクシーズ?腐りかけのオクシーズ?どーゆーことよ!』

 『誰が時間がなくて、誰が腐りかけだって??!』

 『なんでそんな歌を私ら歌わんなんがけ!!ふざけとるやろ!』

 初めて聞いたパッツンとロバートJのマスターがそばで大笑いをしている。

 『だからさ~みんな、ちょっとまってくれよ~。まずは俺の歌を聞いてみてくれよ。 オクシーズに捧げるために作ったんだからさ~。』

 『おう、聞こうじゃないの。』

 ジョニーの合図でアンドレがギターを弾き、ジョニーがノリノリで歌い始めた! 腰をくねらせ、臭いほどのいつものジョニー節だ!しかも、ブルース調でやたらかっこいい!

 『ちょっとなんなのよ。かっこいい曲つけたからって騙されないわよ!』

 『そうよジョニー!なにかっこつけて歌ってんのよ!ますます腹が立ってきたわ!!』

 ジョニーは言った。
 『オクシーズのみんな、俺、正直に言うわ。誤解しないで聞いてくれ。 今から話すことは俺からの愛だと思って聞いてくれ!』

 そして一呼吸おいて続けた。
 『ユー達ね、自分たちでおくしいって名乗るのはどうなの?もちろん俺から見たらめちゃおくしーぞ。 自慢の同級生やわ。ああ、もうまぶしくてまぶしくて目がつぶれそうや!』

 今にも倒れそうに大げさに演技するジョニー。
 『だけどな、よーく聞いてくれ!ここからが大事だぜ。
 あのね、自分たちからおくしいって言うのはどうなのよ? 正直言ったら、世間からしたら、ただの・・・オバハンじゃん!!どっからどうみてもオバハンじゃん! あ、これ俺が言ってるわけじゃなくて、世間が言ってるわけよ。』

 『そうだそうだ!オバハンのくせに厚かましいわ!アツカマシーズに変えろや!』
 酔っ払いアンドレが煽る。

 『アンドレは黙っとれ!』叱りつけるジェニー。

 『オバハンがオクシーズと名乗るんなら、やっぱり一回下げてからじゃないと誰も納得しないでしょ。 私たち時間がない、腐りかけなのって歌って自分たちを落としてから歌えばみんな大喜びでドッカーン!よ。 そでしょ?マーク!』

 『いや、ジョニーさんジョニーさん、それはちょっと違うと思うんすよ。たしかにこの人たちオバハンです。 50過ぎてオクシーもくそもありませんわ。おまけに歌が酷いのなんの。』とマーク。

 『ほんまに歌がへたくそなタダのオバハンや! このババアたち調子にり過ぎやで!』

 『うるさいっ!!アンドレこそオッサンのくせに!アンドレにだけはオバハン言われたくないわ!』

 『アンドレ、静かに!ノゾーミも落ち着いて!』

 冷静に話を聞こうとするジェニー。ジーマをがぶ飲みしながら聞いているターマ。 寝たふりを始めたパッツン。 マークが続けた。

 『ジョニーさんの言うことはよくわかります。ただしそれって、 歌がうまくて本当に実力のあるグループにしか許されないやり方だと思います。 たとえばドリフターズだって音楽的なベースがあるからこそ笑いがとれるんです。 でもこの人たち半端なく歌がヘタ!どうしようもなくヘタ!楽器だってできない。 そんなへたくそなただのオバハンですよ!そんなオバハン達をどうやってステージに立たせるのか、 僕だってそれがどんなにハードルが高いことかわかってます。』

 『そやろ!歌がへたくそな素人のオバハン。 それがオクシーズと名乗るやぞ! だれがどう聞いてもおかしかろ!笑いでもとらんことにはどうにもならんわ!』

 『だけど僕はなんとかしますよ!へたくそなただのオバハン達を必ずステージに立たせて見せます。笑いなしで!』

 『ちょっとあんたらさっきからオバハンオバハンって!オバハン言い過ぎじゃない?!!』ノゾーミが切れる!

 『マーク、無理や無理や!歌の下手なオバハンなんか誰も見たくないわ!気持ち悪くてみんな吐くわ、オエーゲロゲロ。』小学生のようにふざけるアンドレ。

 さすがにジェニーもキレはじめた。
 『アンドレっ!さっきから黙って聞いてりゃ調子に乗って!だいたいあんたはね、昔から・・』

 とその時、それまで黙っていたターマが急に立ち上がり、アンドレの頭を一発ぶん殴って叫んだ!

 『お前らみんなうるさーーーーい!!
 どうせ私が歌がへたくそやと言いたいがやろーーー!!
 歌がヘタで悪かったなーーーー!!』
片手にもったジーマを一気に飲み干し、ターマはそのあと意識を失った。

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