週刊オクシーズ物語
15. 私が妾(めかけ)だと!?

私が妾(めかけ)だと!?
女同士の修羅場には慣れているはずのマークでもこの展開には慌てた。
ジェニーの気持ちもわかる。ノゾーミとターマの言いたいことも理解できる。
どちらが正しくてどちらが間違っているという話ではない、 ただ話している土俵が違うのだ。
これはどこまでいっても結論など出ないだろうとマークは思った。 そこでマークはこんな提案をノゾーミとターマにした。
『ふたりともそれぞれの想いを歌詞にしてみようよ!オクシーズマイラブのメロディーにのせて詩を書いてみてよ。急いでね!』
『わかった!』
ノゾーミもターマもマークのメロディーを繰り返し聞きながらイメージをふくらませて、それぞれの想いを詩に綴った。 こうして歌詞が違うがメロディーが同じ、それぞれ3番まである3種類の『オクシーズマイラブ』が誕生したのだ!
ジェニーは不快をあらわにした。
『マーク、これじゃあ私と言う本妻がいながら、妾(めかけ)にも子供を産ませたのと同じじゃない!』
『め・め・めかけーーーー???』
(歌詞)と(作曲)が受精して、オクシーズマイラブが生まれたと言い切ったジェニーが、またもや爆弾発言!
今度はノゾーミとターマを妾(めかけ)扱い。しかも、妾なんて言葉、2014年にこのアメリカで聞くとは思わなかった。
リトル高岡でも1位2位を争う日本かぶれのジェニー。普段からよく着物を着てでかけ、カラオケの18番も日本の演歌『天城越え』を歌っているジェニーだが、いったいどこまでド演歌なんだ。
今の日本の若者だって知らないような言葉をジェニーはよく知っている。ノゾーミたちの母親の時代には愛人のことを妾(めかけ)と呼んでいた。愛人は甘美な香りがするが、まだ女が仕事を持てなかったその時代の日本の女たちは、男に養われていた。そう、妾って男に囲われている暗いイメージが強い。ノゾーミとターマの一番嫌いな女だ。
『どういうことよ!失礼でしょ!!妾の子って!
なんでジェニーの歌が本妻の子で私らのが妾の子になるのよ!同じ子供じゃないの?』
『いや、マークは私の歌詞で曲をつくったのよ。
ミュージシャンマークとして魂を入れて作ってくれたの。悪いけどあなたたちのはただの替え歌よ!』
『替え歌と言われたら私らだって黙っちゃおれんわ!!
マークの曲でイメージ膨らませて取り組んだこの二日間はなんだったのよ。
そもそも曲作りって歌詞先行ばかりじゃないでしょ! 曲先行っていう作り方だってあるわよね?
マーク??だから私たちにも歌詞書いてっていったのよね?』
マークは慌てふためいていた。
『そうそう、いろんなやり方があるから。ジェニーの言ってることも正解。
でも二人が僕の曲に一生懸命詩をつけてくれたことも本当にうれしい。
どっちも正解なんだ!とにかく皆さんー落ち着いてーーー!!』
マークは一体どう思ってるんだ?
ジェニーが言うように、ミュージシャン魂を入れた大事な曲なのか?
ならばなんでノゾーミとターマにも歌詞を書かせた?
どうやらジェニーに対しても、ノゾーミとターマに対してもどっちにもいい顔をしようとしてあたふたしているようにも見える。
あやしい!!3人の怒りの矛先が一気にマークに向かった!みんなが
『マーク、どっちなんだよ!
どっちも味方すんじゃないよ!ガツンといってやれよ!』
と心の中で思っていた。しかし結婚歴4回の男マーク、絶対に女性を否定しない!それがマークという男なのだ!
『で、マークどうすんのよ!こんな3人も子供産ませて!』
すでに9人の子持ち、マークは言った。
『こうしよう。一人づつ自分の歌いたいところを持ち寄って、一番づつ歌うんだ。
リトル高岡をずっと離れているジェニー、ニューヨークから戻ってきたノゾーミ、
ずっとリトル高岡に住んでいるターマ、 それぞれの思いが一つの歌になったら3人の個性も出せるし、
聞く人がどこかで共感できるはず。そうしよう!』
『そんな歌唄うぐらいなら、私やめる!そこだけステージから降りるわ!』
ジェニーが言い放った。
オクシーズ最大のピンチ!!
さあ~このあとどうなるの?